流産と言えば、大量の出血や下腹部痛とともに起こるイメージが強いかもしれません。ところが、死亡した胎児や胎盤が子宮内に残ったままの「稽留流産」はこうした兆候がないのが特徴で、本人が気づかないあいだに流産していることがあります。ここでは、稽留流産の症状のほか、つわりや基礎体温、妊娠初期症状の変化について解説します。
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稽留流産とは?心拍確認後でも起こる?
流産とは
そもそも流産とは、何らかの原因で妊娠22週未満にお腹の赤ちゃんが亡くなってしまい、妊娠が中断することです。人工妊娠中絶を意味する「人工流産」と区別して、「自然流産」ともいわれています。流産は全妊娠の約15%の確率で発生するとされ、誰でも経験する可能性があります。
流産は発生する時期によって以下に分類されます。
| 早期流産 | 胎嚢が確認できてから妊娠12週未満 |
| 後期流産 | 妊娠12週以降22週未満 |
流産の多くは妊娠初期に発生し、早期流産が全流産の約80%を占めます。なかでも、妊娠検査薬で陽性反応が出てエコー検査で胎嚢も確認できたものの、心拍確認ができずに流産と診断されるケースがほとんどです。そのため、昔から心拍確認ができればひとまず安心といわれてきました。
ただし、経腟エコーによる心拍確認後の流産率は全流産の16~36%で、決して低い数字ではありません。精度の高い経腟エコーでは妊娠の早い段階で心拍確認ができますが、その後胎児が成長できなくなる場合があるということです。
なお、よく耳にする「切迫流産」は、厳密には流産とは異なるものです。切迫流産とは、胎児はお腹の中で生きているものの流産になる危険性があり、入院や絶対安静が必要な状態を指します。
稽留流産とは
「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」は流産の一種です。「繋留流産」と書き間違えやすいですが、「稽留流産」が正しい漢字です。稽留流産は胎児が子宮内で死亡し、胎児や胎盤といった子宮内容物が子宮外に排出されずに残っている状態で、腹痛や出血といった自覚症状があらわれません。そのため、流産に気づかないで過ごし、妊婦健診で初めて判明するケースがほとんどです。
稽留流産を診断するにはエコー検査を行います。経腟エコーで胎嚢は確認できるものの、その中に胎児(胎芽)とその付属物が認められないことを「枯死卵(こしらん)」と言います。この枯死卵が証明された場合や、経腟エコーで妊娠7週以降に心拍が確認できない場合、稽留流産が疑われます。
稽留流産はそのままにしておくと子宮内容物が自然に排出される「進行流産」になり、出血や痛みがあらわれることがあります。子宮内容物がすべて排出される「完全流産」になるまでは症状が続き、大量出血といったリスクもあるため、手術を行う場合が多いです。
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胎芽はいつから確認できる?胎芽確認後の流産の確率は?|産婦人科医監修稽留流産の原因
稽留流産を含み、流産の原因は時期によって異なります。
妊娠初期に起こる早期流産の原因の多くは、受精卵の染色体異常です。胎児が育たないことが受精の段階で決まっていたと言え、残念ながら予防することはできません。どんな人が流産しやすいかは一概には言えませんが、母体の年齢が上がるにつれて受精卵の染色体異常率が上がり、流産のリスクも高まるといわれています。
まれに、染色体異常によって「絨毛組織」が異常増殖する「胞状奇胎」が原因で稽留流産になることもあります。胞状奇胎は絨毛がんに移行するといったリスクがあるため、流産後の子宮内容物を病理検査に出して、胞状奇胎だったかどうか診断する必要があります。
一方、妊娠初期の途中から妊娠中期にかけて発生する後期流産は、母体側の原因であることが増えます。「絨毛膜羊膜炎」「子宮筋腫」「子宮奇形」「子宮頸管無力症」などが後期流産の原因として考えられます。
近年、稽留流産が増加傾向にあり、稽留流産の原因について新たな見解も出てきています。子宮組織の代謝が悪いために良い胎盤が形成されず、胎児への血液供給がうまくいかないことで胎児が育ちにくいのではないかというものです。 この見解はまだ医学的に証明されていませんが、今後明らかにされれば稽留流産を予防する手がかりになるかもしれません。